生まれたての動物の脳は未熟で、生後の経験によってその機能が発揮される。生後に起こる脳の機能発達の

基盤は神経回路の形成と成熟であり、イメージングを活用した研究がその機構の解明には必須である。

イメージング技術の進歩により、培養神経細胞レベルから個体レベルまで、多様な標本を用いた神経回路イ

メージングを行うことが可能となった。培養系では超解像顕微鏡によりシナプスの構造に関する詳細な情報

の取得が可能となり、回路機能についての具体的なモデルが提案されつつある。

 

 一方で二光子顕微鏡を用いた個体イメージングによって、生後発達の過程での神経回路の形成とリモデリ

ングが直接可視化できるようになり、更に精神神経疾患と神経回路の障害の関連も明らかになってきた。ヒ

トの脳は数十年にわたって経験を蓄積できる一方で、直前の経験によって行動を変化させることができる。

その基盤となるシナプスの性質がイメージング研究により次々と明らかになってきた。

 

 本講演ではこれらの研究内容を紹介しつつ、シナプス障害として精神疾患の病態を捉えることの妥当性や

将来展望についても議論したい。

 

*2021年9月2日に行われたウェビナーの収録動画となります。

 

 

 

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